【数学小話】小数の発見の歴史

こんにちは!さとあずです。

みなさん身長や体重など物の長さや重さを測るとき”小数”使いますよね?

現代では当たり前のように使われている小数ができるまでは、それはそれは長〜〜〜〜い歴史があったのをご存知ですか?

今日は、小数が発見されるまでのお話をしたいと思います〜

※今回の記事は、山本義隆さん著「小数と対数の発見」を参考に書いています

はじめに!実数についておさらい

小数の歴史の話をする前に、実数についておさらいしたいと思います

実数は、”実際に存在する数”のことです。数直線で表せる数と説明されることが多いです。

みなさんが数だと思うものは大体実数です!

実数は「有理数」と「無理数」に分けられます。

有理数は、例えば整数(・・・-3,-2,-1,0,1,2,3,・・・)は有理数に入ります。

正確にいうと、分数で表されるものが有理数です。

整数も分母を1と考えれば、分数で表せますよね。

例えば、3=3/1、5=5/1と表せます。

有理数の具体例として3/4と1/3を見ていきましょう。

3/4=0.75

1/3=0.3333333・・・

0.75のように無限に続いていない小数を「有限小数」といい、0.333・・・のように無限に続く小数を「無限小数」といいます。

他にも例えば2/11を計算するとこんな感じ

2/11=0.1818181818・・・

0.333・・・は3が無限に続いているし、0.1818・・・は18が無限に繰り返し続いていて、このような無限小数を循環小数と呼びます。

有理数の中で無限小数の形になるものは、このような循環小数になるといわれています!

1/7は小数で表すと0.142857142857・・・と一見循環していないようにも見えますが、142857の塊が繰り返されているのでこれも循環小数と言えます。

有理数の無限小数が必ず循環する証明は少し長くなってしまうので、別記事にします。

無理数は、循環しない無限小数のことをいいます。

例えば、π=3.14159265359・・・や√2=1.41421356237・・・のように小数点以下の数がランダムで循環しないものが無理数です。

無理数はどんなに頑張っても分数の形(整数/整数の形)にできないという特徴があります。

小数の発見の歴史(紀元前のお話)

むかーしむかし、紀元前5世紀のこと、数学は大きく分けて2種類ありました。

1つ目は、商業や建築などのための計算術や計測術としての数学。もう1つは、学問としての数学

前者はものを売買したり、計測したりと、現実的な問題を解くための”技術”で、後者は数や図形について一般的い論証する”学問”で、当時はこれら2つは大きく区別されていました。

これは区別というより、学として数学を行う数学者による商人に対する蔑視ともとれるものでした。

学問としての数学を行なっていた当時の数学者たちは、現実的なものの量や長さなどの数を数学の対象の数としては認めず、思想の中で考えることのできる数のみを数学の対象だと考えていました。

この2つの数学は、対象とするものが異なっていたので、扱う数も異なりました。

純粋数学の中では、数=整数と考えられていました。

単位としての1が特別視されていたので、「1が何個分」で表せる整数だけが数とみなされて、いわゆる分数の形で表せる有理数は、整数同士の比(?)として考えられていたみたいです。

当時の純粋数学者たちは、「とにかく、誰がなんと言おうと、整数しか数じゃないんだからな!!!」という感じだったそうです。

無理数なんて論外。

一辺の長さが1の正方形の対角線の長さが整数の比で表せない(実際√2なので分数では表せない)ことを指摘した人がいるもんならば、殺してしまったという話もあるくらい。(恐ろしい・・・)

一方、商業数学はというと、分数は当たり前のように使われていました。

尺度の分割を増せば増すほど正確に計測できるからです。

そりゃあ、1センチ単位しか測れない物差しと、1ミリ単位まで測れる物差しがあったら、普通に後者選びますよね。

当時の王権のもと巨大な建築物の建設が始まると、建築資材の規格の統一のために物差しが必要になりました。

その時に、木材や石材はそれぞれ大きさが違うので、必ず端数が残りますよね。

なので、1未満の数を扱う必要が出てきたわけです。

このように見ると、純粋数学者は商業数学を見下していたにも関わらず、実際には商業数学の方がより広い範囲の数を扱えていたわけですね。

実際、当時の純粋数学は、「数を奇数と偶数に分けてみよう」とか、「6の約数はその和も積も6になる!(6=1×2×3=1+2+3)」など、1つ1つの数の性質を探究していたため、実用性はなかったといわれています。

しかし、純粋数学においても商業数学においても、「小数」を使う段階にまでは辿り着きませんでした。

小数の発見の歴史(13世紀以降)

歴史は進んで13世紀。

商人の間では、両替や利息計算、利益分配などに計算力が必要とされるようになり、中世の産業革命では、技術の高度化、航海術の発展もあって、実用的な数学や幾何学が求められるようになりました。

それでも、この時代の商業数学からも「小数」を使おうという欲求は生まれませんでした。

10進数ではない数で小数が扱われたり、小数に近い概念は考えられたりすることもあ理ましたが、現在の形の小数がはっきりと明言されたのは16世紀のこと。

新生ネーデルラント共和国の技術者シモン・ステヴィン(1548−1620)が著書「十分の一法」で、現代と同じ形で小数を表すことを明確に記しています。

ステヴィンは純粋数学と商業数学のどちらにも精通していたという点で他の数学者と異なっていました。

彼は純粋数学や哲学から、計量と計測の技術に役立つ数学に転換させることによって、その後の数学的自然科学に有用な数学をもたらしたといわれています。

ステヴィンによって小数の概念が導入されることで、分数の形では表すことのできない実数「無理数」が扱われるようになったのです。

あとがき

実際に「小数と対数の発見」では、歴史的な背景や数学的な内容がもっと詳しく書かれてありましたが、今回はものすごーく噛み砕いて書かせていただきました。

もっと詳しく知りたい方は、実際に著書を手に取って読んでみてほしいです!

それにしても、数学が始まった紀元前3世紀から、小数が現れるまでに約2000年もの歳月がかかっていたとは驚きですね。

普段私たちが当たり前のように使っている数が現代の形になるにはものすごく時間がかかっていたんですね。

それほど、数は人間の生活の中で欠かせないもので、その概念自体を変えていくことが簡単ではなかったことが伺えます。

それでは、また!

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